QCDSとは
QCDSとは、製品を評価する際の指標です。Qは「Quality (クオリティ) 」、Cは「Cost(コスト)」、Dは「Delivery(納期)」、Sは「Service(サービス)・Safety(安全)」を表しています。それぞれの項目を競合他社と比較し、自社が優位に立てるような取り組みを展開すると、顧客満足度や売上の向上を目指せます。
QCDSは、もともと製造業で生まれた考え方です。ただし、現在ではサービス業、建設業、システム開発業などにも浸透しており、ビジネス全般で使われるフレームワークとなっています。多くの企業がQCDSの指標を活用して事業の発展を目指すようになりました。
QCDSは製造業で使われる評価指標
QCDSは製造業で使われる評価指標です。QCDSに含まれる「Quality」「Cost」「Delivery」「Service・Safety」について、以下で詳しく解説します。
【Quality】適切な品質
「Quality」は、製品の品質に関する評価指標です。顧客のニーズに応えるためには、適切な品質の確保が不可欠となります。品質が低い製品は不良在庫となるため、倉庫のキャパシティを圧迫します。また、処分する際は、本来は必要ない余計な費用も支出しなければなりません。品質が低い製品が増えるとコストが大きくなるため、適切な品質を保つ必要があります。
【Cost】適正な価格設定
「Cost」は、製品の価格に関する評価指標です。コストダウンの意味合いを含む場合もあります。
製品の価格は、市場に対して適正である必要があります。最先端の設備を活用するなどし、品質の高い製品を安定的につくることも大切です。高品質でも高価格な製品や、低価格でも低品質な製品は、評価が低くなります。価格と品質のバランスが適切になるよう調整しましょう。
【Delivery】適切な生産計画
「Delivery」は、製品を納品するまでの時間に関する指標です。納期の遵守は信頼を維持するために重要であり、納期が早いほど顧客満足度は高くなります。ただし、無理に納期を短縮するのではなく、適切な生産計画を立てることも大切です。納期を早められないと判断した場合は、顧客との調整も必要でしょう。
また、納期を早めるうえでは、着実に製品を用意できる環境の整備も重要です。設備の故障や不良品の発生などを未然に防ぐ対策も検討しましょう。
【Service・Safety】サポート体制と安全性
「Service」は、顧客に対するサポートに関する指標です。丁寧に対応したりアフターサービスに力を入れたりして、顧客満足度を高める必要があります。
また、「Safety」は、安全性に関する指標です。安全性にも配慮すると、製品の品質をさらに高められます。安全性への配慮に欠けている場合、顧客だけでなく従業員も離れていく原因になるため、注意が必要です。
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QCDSの優先順位
QCDSの優先順位は、アルファベットの並び順のとおりです。最も優先すべきなのは「Quality」であり、製品の品質を適切に保つ必要があります。そのうえで適正な価格設定を考慮し、無理のない生産計画により素早く納品することが大切です。また、アフターサービスにも力を入れると、顧客のニーズにさらに応えられるようになります。安心して製品を利用できるよう、安全性にも配慮しましょう。
品質が重視されている理由は、たとえ価格や納期に問題があっても、高品質であれば顧客満足度の大幅な低下を免れる可能性があるからです。しかし、製品の品質が下がれば、ほかの要素に問題がなくても購入されなくなる恐れがあります。品質以外の要素については、顧客のニーズを考慮して優先順位を変更してもよいでしょう。
QCDSを向上させる方法
QCDSを向上させるには、どうすればよいのでしょうか。具体的な方法について解説します。
品質を高める
すでに触れたとおり、QCDSで最も重要なことは品質です。QCDSの向上に取り組む際は、最初に品質の向上に向けた取り組みに着手する必要があります。
品質の向上においては、4Mを意識しましょう。4Mとは「Man(人)」「Machine(設備)」「Method(方法)」「Material(原材料)」のことです。高品質な製品をつくるには、経験豊富な担当者のスキルをマニュアル化して共有したり、生産性の高い設備を導入したりする必要があります。また、管理や検査の方法の改善も求められます。原材料については、原価率と品質のバランスを考慮すべきです。
コストを削減
QCDSの向上を目指すためには、原価率も抑える必要があります。原価率を下げられれば製品の価格も抑えられるため、顧客満足度を高めやすくなります。
また、無駄の削減も重要です。効率よく生産できる体制が整えば、余計なコストの削減につながります。ただし、無理にコストを下げたり、適正価格を大幅に下回ったりしないよう注意が必要です。適切なコストを意識したうえで、必要以上にコストをかけないようにしましょう。
納期を守る
納期を守るには、無理なく実行できる生産計画を立てることが大切です。そのうえで、計画に沿って製品を生産し、納期を厳守しましょう。
納期が極端に短すぎる場合、小さなトラブルが発生するだけで納期を守れなくなる恐れがあるため、注意が必要です。各工程の完了までにかかる日数を割り出し、多少余裕もたせた適切な生産計画を立ててください。各工程にかかる日数を短くするには、生産性を向上させるための取り組みも積極的に実施する必要があります。
適切なサービスの提供
QCDSの向上においては、適切なサービスの提供も求められます。そのためには、人材のリソースの管理を徹底する必要があります。DXを推進して生産部門の人手不足を解消したり、サポートセンターに優秀な人材を配置したりすることも重要です。また、人材育成に取り組み、それぞれの従業員のサービスの質を高められるとよいでしょう。
ただし、サービスはあくまでも付加価値にすぎません。Sの向上だけに力を入れすぎてQCDが低下する事態に陥らないよう、全体のバランスを考えて取り組みましょう。
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QCDSから派生した種類
QCDSから発生したさまざまな考え方もあります。QCDSとともに理解しておけば、さまざまな場面で役に立つでしょう。ここでは、QCDSから派生したQCDSE、QCDSM、PQCDSについて解説します。
QCDSE
QCDSEは、QCDSに「Environment(環境)」のEを加えた考え方です。「Environment」は働く環境を表しており、よりよい製品をつくるためには適切な労働環境の整備が必要であるとされています。Sの安全性の観点からも、従業員が安心して働ける安全な環境を整えることは重要です。
従業員が高いモチベーションを保ちやすく、業務の生産性や効率が向上するような環境を整備しましょう。
QCDSM
QCDSMは、QCDSに「Moral(やる気)」のMを加えた考え方です。従業員の仕事に対する意欲は、生産効率や生産性にも影響すると考えられています。従業員のモチベーションを高めるためには、有給休暇の取得率向上や残業時間の削減などに取り組むことも必要です。それ以外にも福利厚生に力を入れると、従業員のやる気をアップさせられる可能性が高まります。
製品の品質向上や適正価格の設定などとともに、従業員の福利厚生にも配慮した働き方改革に取り組みましょう。
PQCDS
PQCDSは、QCDSに「Producticity(生産性)」のPを加えた考え方です。ここでの生産性は生産効率を表しているわけではなく、顧客のニーズにあわせた製品をいかに生産するかを示しています。
顧客のニーズは多様化しており、それに対応するには臨機応変に製品を開発する必要があります。QCDSを意識すれば高品質で低価格な製品を短期間で納品できますが、そもそも顧客ニーズに合っていなければその製品は売れません。製品を売るには顧客のニーズにあわせることが前提となるため、QCDSよりもPの優先順位が高くなっています。
まとめ
売れる製品をつくるためには、QCDSの評価指標を意識する必要があります。QCDSのなかで最も重要なことは品質であり、品質を高めたうえで価格や納期などにも配慮することが大切です。それぞれの要素のバランスも意識し、適切な製品を提供しましょう。
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